父になるまで。 EPISODE.4
卵管閉塞と診断された妻。
こうなると、妊娠するためには『体外受精』という方法になります。
ざっくりと流れを言うと、投薬することにより、妻の卵巣の中に卵胞を増やし、そこから卵子を体外へ抽出。
そこへ、夫である私の精子を受精させて、受精卵として培養が成功したら、再び妻の胎内へ戻し、着床させる。
投薬は、注射、点鼻薬などがあるようです。
卵子を取り出す際には麻酔も使用します。
また、卵胞が増えすぎてお腹がパンパンに張ってしまう場合もあるそうです。
体外受精は、1回につき30万円ぐらいの費用がかかりますが、自治体の補助を受けることができます。
私の住む市の場合は、半額の補助を受けることが出来たはずです。(もう記憶が曖昧……。)
受精卵をたくさん作ることが出来れば、それを凍結保存しておいて、着床が上手くいかなかった場合、凍結保存しておいたものを使って、再度、着床を試みることが出来ます。
女性側は、投薬やら施術やら、いろいろとやることが多く身体的、精神的負担が大きいです。
うちの場合は、卵子を取り出す際の麻酔が妻に合わなかったようで、吐き気や貧血症状が見られ、通常でしたら半日程度で帰れるところを、夕方ぐらいまでクリニックで休ませてもらいました。
男性側は、特に身体的な負担はありませんが、私としては、辛そうな妻を見るのが、心苦しかったですね。
結果から言うと、我々夫婦の初めての体外受精は、失敗に終わりました。
卵子が数個取れたのですが、そのうち受精卵として培養できたものが1個だけ。
それを胎内に戻しましたが、妊娠には至りませんでした。
受精卵の培養が1個だけしたか成功しなかったので、当然、凍結保存という手段は無理。
結果としては、妻の身体的負担と精神的負担。そして、費用だけがかかったということになりました。
残念な結果を聞いてクリニックを出ると、冷たい秋風と、自分を責める妻の悲しい言葉が身にしみました。
「私のせいでゴメンなさい。」
「ツライな……。またチャレンジできるかな。」
「私は弱い人間だから、赤ちゃんは私を母親に選んでくれないのかな?」
といったことを涙声で呟く妻に私は何と答えたか、覚えていません。
ただただ、妻を責めずに何とか励まそうと言葉を探していた気がします。
そして、その言葉がほとんど妻に届かなかったことも覚えています。
不妊治療は、本当に女性への負担が大きい場合が多いです。世の不妊に悩むご夫婦には、ぜひ夫の理解と励ましを忘れないでもらいたいな、と思います。